平成25年1月1日から復興特別所得税が施行され、源泉徴収事務が大きく変わります。
そこで、このコラムでは復興特別所得税について、源泉徴収事務のチェックポイントをお伝えいたします。
1.復興特別所得税とは?
東日本大震災の復興のための「復興財源確保法」により施行される所得税のことを言います。平成25年1月1日から平成49年12月31日(25年間)までの間に生じる所得について源泉徴収をする際、源泉徴収すべき所得税の額の2.1%を復興特別所得税として徴収することとなります。(復興財源確保法第28条)
2.適用時期には要注意!〜給与・報酬・利子〜
平成25年1月1日から施行される復興特別所得税ですが、種類によって適用時期に違いがあるので注意が必要です。
①給与:
平成25年1月1日以後に支払われる給与から適用されます。つまり、12月分の給与を
1月に支払う場合においても、復興特別所得税が課されるかどうかは原則「支給日が1月
1日以後か」で決まります。(※1)
②報酬:税理士等の報酬については、役務提供の完了日で判断するのが原則のため、12月まで
に役務が完了している報酬(例:12月顧問料)について1月1日以後に支払うものについ
ては、復興特別所得税は課されません。
③利子:利息の計算期間を問わず、平成25年1月1日以後に支払を受けるものは復興特別所得税の対象となります。
3.計算例
次に、報酬と利息について、実際に計算をしてみましょう。
例1:報酬(300,000円の場合) (単位:円)
報酬額 | 源泉所得税額(税率) | 支払額 | |
平成24年12月まで | 300,000 | 30,000(10%) | 270,000 |
平成25年1月以降 | 300,000 | 30,630(10,21%) | 269,370 |
※10.21%=10%×102.1%
支払額から割り戻す際、従来は0.9(=1-0.1)で割って報酬額を求めていましたが、今後は
0.8979(=1-0.1021)で割り戻すこととなります。
例2:利息(1,000円の場合) (単位:円)
利息 | 源泉所得税額(税率) | 利子割(税率) | 手取額 | |
平成24年12月まで | 1,000 | 150(15%) | 50(5%) | 800 |
平成25年1月以降 | 1,000 | 153(15.315%) | 50(5%) | 797 |
※15.315%=15%×102.1%
利息については報酬よりさらに複雑です。従来は手取り額を0.8(=1-0.15-0.05)で割って利息額を求めることができましたが、平成25年1月以後は0.79685(=1-0.15315-0.05)で割り戻すこととなります。
平成25年1月以後の報酬・利息については、報酬→0.8979、利息→0.79685という数字が重要になりますので覚えておいて下さい。
4.おわりに
平成25年1月1日から施行される復興特別所得税により、源泉徴収額が変わるとともに、その計算も複雑なものとなります。みなさんも給与、報酬また利息等の金額には一層注意が必要となりますので、その点ご留意ください。
※1:詳細は国税庁のHPにも載っておりますので、そちらも併せてご参照ください。
(URL:http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/fukko/index.htm)