文●公認会計士 蒲池 孝一

 このシリーズも最後です。これまでのことを振り返り、まとめをしたいと思います。

「刺激→反応」の成功パターン化が組織を維持
 生物界では、自分の組織(個体)を維持する仕組みができています。「刺激→反応」の仕組みです。ある「刺激→反応」のパターンが、ある環境下で有効であると、そのパターンがその組織を充満し、固定されます。同じような環境では、そのパターンが成功をおさめ、組織は維持されます。

組織の行動基準=常識
 人間社会の組織でも同じことです(注1)。「刺激→反応」のパターンはその組織固有(注2)の「常識」から生み出されます。常識は、様々な出来事を解釈し、行動するときの基準です。組織がうまく回っている(変な言い方ですが業績も好調で人々が安心して働いていることです)ということは、その常識が有効である、ということです。
 しかし、その組織も、環境の変化によってうまく回らなくなります。推測を交えましたが、トヨタの例も取り上げました。

環境の変化に対応するために
 どんな変化にも組織を維持しようとするならば、反応のパターンが変えられる(つまり常識が変えられる)ように、前もって準備しておかなければなりません。生物の組織では突然変異・淘汰という進化の仕組みが世代を経てパターンを変えます。
 人間組織でいうと、突然変異の代わりをなすのは全く新しい常識のことですが、その担い手は組織内の異端分子や外部からの異分子の参画です。成功している組織ほど、そういうものは居ませんし、受け付けないようになってしまっています。成長期に、組織が一丸になって攻めているうちに論争などは克服されているからです。不良社員などは消えてしまっているのです。
 しかし、将来のためには、論争の素が大事です。そこで、「温存すれば路線があいまいになる、組織が一丸となれば来るべき大変化に耐えられない。」というジレンマが立ちふさがります(注3)。

持続的成長の仕組作りはトップの課題
 環境の変化が予見され、路線=「常識」の有効性が疑われ始めたらどうしたら良いでしょう。そうなれば、常識を点検し、生の情報を生かし、問題を摘出せねばなりません。新たな「互解」の種により、論争が始まり、組織を次代に蘇らせる「常識」が内部から生み出されねばなりません。
 しかし、これは、「組織一丸」のジレンマを抱えつつも、平時に準備しておかねばなりません。トップは、組織の成長を維持する変化のマネジメントを担う「真の=そして一人だけの」人物です。平時から、それを意識して取り組んでください(注4)。

 

※注1 人間組織にとっての環境とは、外部との競争など外部条件だけではなく、メンバーの年齢構成や、人生観・価値観など、内部の条件も含まれます。
※注2 固有というのは、組織ごとに常識が異なっているということですが、中に居る人はなかなかそのことに気づきません。年齢や時代の風潮などの影響を受け、社会一般の常識と似通ってもいるからです。しかし、よく観察すると、ほんとうに組織によって常識は様々です。
※注3 「組織一丸のジレンマ」と名付けます。一丸となって事に当たっていくことは良いことのようですが、環境の大変化を前にしたとき、それは有効な対応策を作って素早く実行することに失敗してしまいます。
※注4 組織の常識を点検し、どんな「変化の仕組み」を埋め込んだらよいかということを考えることですが、組織内のエリート達はこのジレンマにぶち当たってしまいます。私たち外部のコンサルの重要な役割がここにあります。

 

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2010年4月号(VOL 117)より

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