文●公認会計士 蒲池 孝一
還暦を過ぎるといろんな体調変化が出るものです。高血圧の常態化、飛蚊症(目の中でいつも蚊が飛んでいるアレ)、頸動脈の硬化等々。しかし、まだまだ煩悩の火が消せず、友人達とコンサルタント会社をやっていますが(※1)、役員は最高齢が76歳、一番若いのが60歳という老人集団です。役員会の話題の半分はクライアントのことですが、残りは健康のこと。特に、自分たち以上の元気な老人との出会いの報告は刺激的です。私も取り組んでいる健康法を負けじと披露します。
私は信奉しているある本(※2)に忠実に従っているのですが、予防医学というジャンルに入るもので、要は人間の身体に備わった生命維持反応装置を動かすことです。キーワードはインターロイキン(Interleukin;IL ※3)。
体内で細胞が破壊されるとIL6という情報伝達物質が生成されます。すると、それに促されIL10という物質が生成されます。IL10は修復に必要な資源の投入を体内で指令します。それは、修復だけではなく成長をも促進させます。IL6→IL10の仕組みが体内の破壊・修復・成長サイクルを回します。
つまり、細胞を更新し若返らせ育てる指令はIL10が果たすのですが、興味深いことにIL10はIL6の刺激がないと作られません。また、IL6は、細胞の破壊がないと生まれません。我々の身体に原初から備わった仕組みです。私の健康法は、適度な細胞破壊運動でIL6を生みだしてやることです。何とか若返らせようと継続しています。
もう一つの我々の話題。それはクライアントのことです。我々はトヨタ方式に倣った経営革新を行っていますが、昨年来のトヨタの業績急降下は改めて組織の成長衰退を考えさせられました。
成長は、外部環境とうまく組織が適合できるかということです。外部環境としての需要が拡大していると、大量生産方式は功を奏するのかもしれません。消費者のニーズが多様化すると、同一商品ではなく、多品種少量生産の混流ラインを組み込める組織が有利なのかもしれません。トヨタは、それらの変化を敏感にキャッチして、日々、行動目標を改善していく仕組みをビルトインしていたはずです。それでも、今回は耐えられなかったのでしょうか。そんなはかないものだったのか、と思います。
トヨタといわず、他の企業についても会社の維持成長を図るという生命装置のような仕組みはあり得ないのでしょうか。ちょうど、身体のIL6→IL10の仕組みは作れないものでしょうか。
それがこれから皆さんと一緒に考えていこうというテーマです。来月号から、具体的な話題をひとつひとつ追いかけてみたいと思っています。
※1 株式会社コア 東京都目黒区 企業風土の改善、工場改革・経営改革のコンサルティング。特に、自動車産業、重電・軽電業、機械工業、サービス業を得意とする。エールパートナーズ会計と事業協力。
※2 「若返る人」クリス・クロウリー、ヘンリーロッジ著 エクスナレッジ刊、2005年
※3 インターロイキン(Interleukin)とは細胞から分泌されるタンパク質。特定の細胞に情報伝達をする。白血球(leukocyte から-leukin)によって分泌され、細胞間(inter-)コミュニケーションの機能を果たす。現在30種類以上が知られている。免疫系の機能は多くをインターロイキンに負っており、自己免疫疾患や免疫不全の多くの難病もインターロイキンに関係している。(Wikipediaより)
エールパートナーズ会計発行:成長企業のための情報誌「グローイングカンパニー」
2009年10月号(VOL 111)より
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