2011年上期日経MJヒット商品番付
日本経済新聞社は2011年上期の日経MJヒット商品番付を発表しました※1。恒例となるこの番付は、東日本大震災の影響を色濃く反映し、節電や被災地支援につながる消費者ニーズに対応した商品サービスが並びました。今回は東西ともに横綱不在。震災の影響で新製品の発表を見送る企業が多かったためで、バブル崩壊直後の1991年以来のことです。
東の大関「節電ツール」は深刻な電力不足への懸念を背景に、LEDやエアコン、冷蔵庫等省エネ型家電のほか、つる性の植物を使った緑のカーテンなど消費電力ゼロの商品も含まれます。一方、西の大関は企業のサマータイム導入に伴う“午後4時退社”の広がりに商機をみる「『アフター4』販促」。居酒屋等の外食サービスで客数増となった事例も相次ぎ、今後広がる気配をみせています。
キーワードは3つのS
日経MJでは今回の番付の鍵を握るのは3つのS、Save(セーブ=救う・省く)、Social(ソーシャル=社会的)、Sympathy(シンパシー=共感)と解説しています。※2
Save :全体的に支出は引き締め気味ながら、「被災地を救う」「省エネに協力」「非常時に自分を救う」ための消費がセーブ志向となり、節電ツール、「アフター4」販促、涼感衣料、メードイン東北、ボランティアツアーに反映しました。
Social :個人同士が情報発信しつながっていくソーシャルメディア。フェイスブックやツイッター(今回は番付外)が代表例ですが今回の震災や原発事故では、情報収集や家族や仲間との連絡に力を発揮しました。
Sympathy :サッカーの長友佑都選手が小柄な体で一生懸命走り回る姿、海賊人気の火付け役となった漫画ワンピースに見る仲間との連帯感に、人気が集まりました。
かつて幅をきかせた「周りに差をつける」「違いや個性を演出」「自分らしさ」といったタイプのヒットはめっきり影を潜め、「より良い社会」「地域や家族とのつながり」を一緒につくる、仲間意識や共感が得られる商品サービスが番付入りするという変化を見せています。
企業はどう消費者と向き合うか
ヒットを実感する物もあれば、番付で初めて知ったものもあるかも知れません。また、番付入りしたのは震災関連ばかりでもありません。読者の皆様は今回の番付をどのようにご覧になったでしょうか。
番付には時代のニーズが現れます。企業は消費者に対して何を発信し、提供していくのか、例年以上に「これからの時代」を意識し、ヒントを見出していく必要がありそうです。
※1:2011年6月22日 日経新聞朝刊、番付表は転載
※2:参考・一部引用:「番付に見る「震災後」のヒット商品」2011年6月22日 日経MJ
エールパートナーズ会計発行:成長企業のための情報誌「グローイングカンパニー」
2011年7月号(VOL 132)より
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