文●マーケティングコンサルタント 中安 康

 

 今回の大震災とその後の政府の対応は、「カントリーリスク」という言葉を思いおこさせました。一般的にカントリーリスクと言うと戦争や内乱、革命が起きる可能性がある国のことですが、実は日本もその一つです。ワイズワース代表の河口容子氏によれば2005年、「世界最大の再保険会社が出した世界で最も自然災害の被害が大きい大都市は東京・横浜圏。火山噴火、地震、台風、津波、洪水の危険が極めて高く、大地震の際は数十万人が犠牲になり、経済的損失は数兆ドルで世界経済への影響も大きい。このリスク指数は 710で第 2位のサンフランシスコ 167に比べて堂々たる数字。」と発表されています。

カントリーリスクに対応する事で国も安定する
 カントリーリスクは戦争や内乱だけではありません。アジアでも、統制国家の中国、北朝鮮の脅威にいつもさらされている韓国、中国からの脅威のある台湾があります。日本と違うのは、カントリーリスクに対応している点です。中国の富裕層の多くは、海外にも住居と居住権を持っています。住居だけでなく、居住権を持つ事で、いざとなったら即移動できます。

代表的なのは戦乱や文化大革命によって、やむなく本国を離れ海外に住んでいる華僑です。

 日本で創業し、一部上場企業(ソフトブレーン)までにした宋文州氏は、「華僑は昔も今も中国の政治不安をリスクとして捉えています。しかし、その彼らが最も中国のビジネスに熱心であり、利益を上げています。彼らはリスクを商売しない理由にするのではなく、商売が大打撃を受けないようにリスクの分散措置をとった上、落ち着いて商売するのです。彼らのリスクヘッジは個人を守り、中国の不安に安定の要素を与えています。その理由は、中国経済が既に華僑を通じて世界と深く繋がり、不安定な政策をとった場合、一瞬にして富も人材も海外に退避してしまい、政権が成り立たなくなることに中国政府がプレッシャーを感じることも、結果的に社会の安定に繋がるのです。」とブログに書いています。

▲本文にも引用した宋文州氏の「華僑流おカネと人生の管理術」今の時期に一読をお勧めします。

経営者の覚悟
 日本では、震災後の日本政府の対応は国民を守るものとは思えず、非難の声が上がっています。でも非難するだけでは始まりません。経営者が政府を監視するためには、一人一人が自立して「生き抜く力」をつける、ということです。かつて、あるコンサルタントが、企業経営者セミナーで講演をする度に、「郵便ポストが赤いのも、電信柱が高いのも、みんなあなたたちの責任ですよ。」と言っていました。それは、本来全く自分に責任のない事でも、経営者というのは責任を負っている。経営者としての覚悟を言っていたのです。

海外展開は時代の流れ
 今回の震災の影響で、地震大国日本へのリスクヘッジから海外に生産拠点を移転する企業が増え、日本の製造業が更に空洞化すると言われています。しかし、これまでの日本が島国であることを理由に海外への進出が少なかっただけです。

 既に世界はグローバル化し、その流れの中で世界経済は動いています。日本ではあまり認められていない企業や個人も、世界市場に展開すると大きな可能性のあるケースがあります。国内や地元で展開している企業も、これからは、常にカントリーリスクを考えながら展開する。そこに全く新しい知恵が生まれ、大きな飛躍の可能性が生まれます。
 日本という範囲に思考を閉ざすことなく、グローバルという可能性とリスクを含めた世界を意識しながら国内や地元で行動する事が求められます。

 ミュンヘン再保険「リスク・インデックス(TopicsGeo2002抜粋)」2002年発刊

参考URL   http://www.munichre.co.jp/public/PDF/Topics_Risk_Index.pdf

エールパートナーズ会計発行:成長企業のための情報誌「グローイングカンパニー」

2011年7月号(VOL 132)より  

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カントリーリスク
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