文●代表 宍戸賢輔(公認会計士・税理士・MBA)
■ 放射能汚染への 心配が高まる
東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、東北・関東地方に住む人は少なからず放射能汚染の心配をするようになりました。水道水、野菜、魚等の食品から「基準値を超える値の放射性物質を検出、直ちに影響はない」という報道が繰り返されています。「基準値とは?」、「直ちに影響ないとは?」、「どの程度で影響が出始めるのか?」。更には、「大気中の放射線量は?」、「どうしたら安全を確保できるか」等々、皆様も情報収集をされているのではないでしょうか。
■ WEB上に見られる傾向
情報収集の手段としてはインターネットで検索という方法が一般的になりました。図1はどんなキーワードで検索する人が多いかを調べるGoogleトレンドの画面です。これを見ても、震災以後の「放射能」に関連したキーワードでの検索が急増したまま推移していることがわかります。
首相官邸災害対策ホームページ※1をはじめ、各自治体※2も放射線の測定結果を逐時公表しています。ただし、ここで使用される単位「Sv(シーベルト)」に耳慣れないこともあり、なかなかピンと来ません。するとそんな声を反映してか、放射線の数値を可視化したサイト「micro sievert」※3が3月下旬には開設され、わかりやすいとWEB上でも話題になりました。
■ 線量限度は年間 1mSv(ミリシーベルト)
国では、被曝(人体が放射線を受けること)の上限値を定めており、これを線量限度と言います。これは国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づいて、一般公衆は1年間に1ミリシーベルト(自然放射線や医療行為による被曝を含まない)と定めています※4。
■ 実際に計測してみた
このような情報公開がされる一方で、政府や東京電力等の発表に不信感が広がり、ツイッター等では測定結果を正確に公表していないのではといった投稿も多く見受けられます。
公的機関が発表する数値が正しいのかどうか、放射線量を測定する機器(ガイガーカウンター)で実際に測ってみました。
本日(5月26日)、千代田区紀尾井町にある弊社オフィス室内の値は「0.07〜0.10μSv」(図2)室外もほぼ同じ値でした。東京都の発表する値が「0.0573〜0.0679μSv」(5月25日最小〜最大値)。計測には測定誤差が±15%程度が発生することを想定しても、概ね公表値との差異はみられませんでした。
0.08×24時間×365日=700.80μSv(マイクロシーベルト)
つまり、1年間の被爆量は0.7 mSv(ミリシーベルト)
ということになります。今後の行方を注視しつつ、情報を正確に読んでいきたいと思います。
※1. 首相官邸災害対策ホームページ http://www.kantei.go.jp/saigai/genpatsu_houshanou.html
※2. 例えば、東京都健康安全研究センターhttp://113.35.73.180/monitoring/
※3. 関東各地の環境放射能水準の可視化「micro sievert」 http://microsievert.net/
※4. 参考:原子力防災基礎用語集 http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/se21.html
エールパートナーズ会計発行:成長企業のための情報誌「グローイングカンパニー」
2011年6月号(VOL 131)より
グローイングカンパニー詳細についてはこちら