文●マーケティングコンサルタント 中安 康
クラウドとは?
クラウドコンピューティング(略して、クラウドという)は、インターネット上にグローバルに拡散したコンピューターを使って、ユーザーに情報サービスやアプリケーションサービスを提供します。利用者は、社内にサーバーや専門家を抱えることなく、外部に運用を任せ、高品質なサービスを、低コストで利用できることが、注目される理由です。
そして、2011年は次の段階へ進展していきます。
クラウドは個人利用が先行
実は、既に個人は、Googleメール、あるいはGoogleカレンダーなどを利用しています。会社のパソコンでも家のパソコンでも、また携帯電話やiPhoneからでも利用できます。グループでスケジュールを共有することもできれば、ファイルの共有もできます。サーバーがどこにあるかを知る必要もありません。まさにこれがクラウドなのです。
更には、クラウド環境のおかげで、twitterやFacebookのようなコミュニティサイトが、とてつもない進化を遂げつつあります。(一般的には、ソーシャルメディアと呼ばれ、ゆるやかなルールの中で、個人や企業が情報発信します。即時性とユーザーコミュニケーションが可能な点が注目されています)
企業ネットワークの新しい発展段階
企業には、上記のようなソーシャルメディアと企業の業務システムや情報ネットワークは別という考えが根強くあります。
しかし、企業も人間活動の一つと捉えると、「所詮個人のネットワーク」という考え方から、ここまで人間を取り込んで行くネットワークに、企業が巻き込まれない訳がないと捉えるべきでしょう。旧来の業務システムの発展としてではなく、インターネットの新しい発展段階として「クラウド」を捉えることです。
※Facebookは全世界に5億人のユーザー、twitterは日本において2010/9の月間利用者数1,900万人(Ad Plannerから)
50億人が使うクラウドデバイスの時代へ突入
企業と個人の垣根を壊すのが、クラウドに直接つながるインターネット端末「クラウドデバイス」(デバイスとは、周辺機器のことで、ここでは、インターネット上のクラウドに直接つながる機器を指す)です。急激に普及するスマートフォン(iPhone他)とタブレット(iPad他)は、パソコンのように回線やルーターの設置といったわずらわしさは一切ありません。スマートフォンを購入し、通信の契約をするだけで、その日からインターネット端末「クラウドデバイス」になり、通信が繋がる環境であれば、いつでもどこでもクラウドとつながるのです。特に新興国は、電話線のインフラ整備が遅れているため、スマートフォンやタブレットでインターネットを見る割合が急速に増えて行き、2年後には、全世界50億台との情報があります(早大 丸山不二夫教授の予測)。全世界の人口が69億人ですから、ほとんどの成人がクラウドデバイス利用者になる、ということになります。
アップル社のおかげで、操作性に優れた使い勝手の良いスマートフォンやタブレットは、世界を席巻し、個人だけでなく企業を巻き込み、いまだかつて想像しなかった新しい価値やサービスを生んで行くでしょう。企業と個人という垣根は、少なくともデバイスの世界では、なくなります。
クラウドとクラウドデバイスによって、企業は、今までにない手軽でフットワークのある環境を手に入れ、大きなビジネス展開が可能となります。
2011年は、大企業、中小企業問わず、クラウドデバイスをどう使うかが、今後のビジネスの大きな境目になる年となりそうです。