酉の市
商売繁盛を願う祭りといえば、酉の市。11月の酉の日を祭日とする年中行事です。東京では、新宿の花園神社や浅草の酉の市が有名ですが、今年は11月7日が一の酉、11月19日が二の酉ということで、来る年の開運や商売繁盛を願って縁起熊手を買い求める人で賑わいました。この熊手、金銀財宝を詰め込んだ作りで、運を「かっ込む」、福を「はき込む」といって開運招福・商売繁盛を願った、江戸っ子らしい洒落の利いた縁起物です(写真1)。翌年の更なる招福を願って、熊手は年々大きなものに換えていくのがよいと言われています。
穴八幡の一陽来復
酉の市には行かなかった!という方は、早稲田の穴八幡神社にお出かけになってはいかがでしょうか。毎年、冬至から節分まで「一陽来復」のお守りを頒布しています(写真2)。
一陽来復(いちようらいふく)とは 「(1)冬が去り春がくること。新年がくること。(2)悪いことが長く続いたあとで、ようやくよい方へ向かうこと。(3)一年を易の十二卦(け)に配当すると、陰暦10月に陰が極まり11月の冬至に一陽がかえることから、陰暦11月または冬至のこと」(参考:WEB辞書・大辞林)です。
冬至と言えばゆず湯ですが、この早稲田・穴八幡の「一陽来復」のお守りの場合、ゆずはゆずでも、金銀融通のご利益があると言われ、全国からお守りをもらいに訪れる人がいるとか。お守りを持ち帰ったら、その年の恵方にお奉り(お守りを壁に貼る)しますが、冬至の日の24時、大晦日の24時、節分の日の24時のいずれかがよいとされています。
江戸の洒落
熊手もゆずも、洒落た言葉遊びですが、他には、赤い実を付けた「南天」は「なんてん」の音より「難を転ずる」という縁起を担ぎ、年賀状の挿絵でもおなじみです。
「江戸の土産で」と言えば、海苔が来た→乗りが来た→調子づいてきたことを意味しますが、近頃はあまり耳にしなくなったのは、景気のせいもあるかもしれません。
「破れ障子と掛けて、冬のうぐいすと解く。その心は、はる(貼る・春)を待つ」といったなぞかけも、近頃また流行っていますが、機転の利いた言葉遊びは、なかなかどうして楽しいものです。
春夏冬二升五合
さて、何と読むでしょう。「春夏冬」は秋がないので、あきない(商い)。「二升」は「升(ます)」と読むので、二つの升でますます。「五合」は半升なので、はんじょう。もう、おわかりですね。
来る年の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。