今年は連日の猛暑が続いていますが、朝夕はようやく秋らしさが感じられるようになりました。植物もそれを敏感に察知して季節が変わり行くことを私たちに知らせてくれます。
朝顔 (あさがお)
朝顔市といえば、7月の七夕の時期ですから夏の盛りの花をイメージしますが、俳句の上では秋の季語です。
「朝顔に つるべとられて もらい水(加賀千代女)」 朝顔を思いやるやさしい気持ち、ご近所付き合いが今よりずっと深く、一昔前の情緒が感じられます。
秋の七草
一月七日の七草粥で有名なのは春の七草ですが、秋にも七草があります。万葉集では山上憶良が詠んでおり、いずれもその美しさを愛でたものです。
「秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数(かぞ)ふれば 七種(ななくさ)の花」
「萩の花 尾花葛花(をばなくずはな) なでしこが花 をみなへし また藤袴(ふぢはかま) 朝顔(あさがほ)が花」
一般に、秋の七草は萩(はぎ)、尾花(すすき)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)といわれています。万葉集で読まれる朝顔は、朝に咲くきれいな花を指し、桔梗の他、木槿(むくげ)、昼顔(ひるがお)など諸説あるそうです。
秋の七草のひとつ、萩
曼珠沙華 (まんじゅしゃげ)
彼岸花の異名のとおり、お彼岸の頃、時期を違わず花を咲かせ、花が終わった後に葉が出てきます。
有毒性で、球根を誤って食すると、ひどい場合は彼岸しかない(=死に至る)ことからの別名とも言われますが、その名前もあいまって、独特の形状の赤い花は群生すると炎が揺れるようにも見え、幻想的です。
鶏頭 (けいとう)文字通り、ニワトリのとさかに似ていることに由来した名前です。こんもりとした真っ赤な花が印象的です。
秋桜 (こすもす)休耕地を利用して大規模に栽培する所もあちらこちらで見かけるようになりました。薄いピンク色ばかりでなく、近年は黄色やチョコレートの香りがするものも見られます。花弁が桜の形に似ていて秋に咲くことから秋桜の文字をあてていますが、これをコスモスと読ませるようになったのは、山口百恵のヒット曲以後とか。
吾亦紅 (われもこう)漢字表記には吾亦紅の他に我吾紅、吾木香、我毛紅などがあります。諸説があります、一説によると、「われもこうありたい」とはかない思いをこめて名づけられたとも。ボンボンとした花穂がかわいらしい花です。
龍胆 (りんどう)朝顔や桔梗と並んで青紫の花が可憐な花。薬効があり、胆汁のように苦く、その苦みが特別強いので、最上級を表す龍の字を冠して名づけられたとも言われていますが、真偽のほどはいかに。
今回ご紹介した秋の花は、すでに見頃のものから、これから見頃を迎えるものまで、きっと皆様のお近くでも咲いているものがあることでしょう。一服の涼を求めて、小さい秋を探してみませんか。
エールパートナーズ会計発行:成長企業のための情報誌「グローイングカンパニー」
2010年9月号(VOL 122)より
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