文●代表 宍戸賢輔(公認会計士・税理士・MBA)
■ 減り続ける会社企業数と事業所数
日本の会社企業数や事業所数が減り続けています。
まず、会社企業とは、株式会社や旧有限会社などの営利社団法人をさします。一方、事業所とは、経済活動が単一の経営主体(会社)のもとで一定の場所を占めて、継続的に行われる単位を言います。
例えば、一つの会社に十か所の本支店や工場があれば、会社企業数は1社ですが、事業所数は10事業所とカウントされます。
■ 事業所は100万も減少している
わが国では、この会社企業数と事業所数の両方が年率マイナス1.3%の勢いで減少しているのです。
91年(平成3年)最高時に675万あった事業所数は、10年(平成22年)で580万事業所以下と推定され、ほぼ100万事業所が減少することになります。
会社企業数も、160万社以上あったものが145万社弱程度に推定され、15万社以上が減ることになります。
雇用や経済を考えれば、見過ごせない大きな問題です。更にこれは自由経済を前提とした国の成立ちそのものを根底から揺り動かすことになるかもしれません。
■ 原因は何でしょうか
この減少問題の原因は、海外に比べ日本の法人所得税が高いことや、起業が失敗した時の社会的信用失墜・経済的な負担が大きいことのほかに、最近の民間調査にもあるように、若者の安全、安定志向などが原因などと言われていますが、私にはピンときません。
主因は、戦後ずっととってきた、「お金も人も東京へ」という一極集中、中央集権的政策にあるのではないでしょうか。
■ 道州制的な地方分権
「世界一、高学歴な人が集まる東京では、今日も非人間的なラッシュで仕事に行き、その子供を育てた地方は、限界集落とか高齢者人口の構成比率が高いという問題を抱え、町は寂れていくばかり」と言ったのは知人ですが、彼もエリートと言われていた人です。
彼の言ったことを解決するのも、会社・事業所数の減少問題を解決するのも、同じ方法です。それは、均衡のとれた日本全体の発展を志向するという政策をとることです。
言い換えれば、ある地方が他の地方を意識して競争をし、税金を安くし、産業育成を行い、人や企業の誘致を行うという道州制的な地方分権政策です。これが、最高の処方箋かもしれません。
エールパートナーズ会計発行:成長企業のための情報誌「グローイングカンパニー」
2010年4月号(VOL 117)より
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