文●マーケティングコンサルタント 中安 康

これほど間近に見られるその迫力が旭山動物園の魅力のひとつです。 

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 パンダやコアラといった動物園では常識の「集客の目玉」が全くいない旭山動物園に、上野動物園と肩をならべる年間300万人の人が訪れるようになりました。
 その成功については、テレビや本で数多く紹介され、実際に行った方も多く、今更細かく説明するまでもないのですが、最も有名なのが「行動展示」。
 ホッキョクグマの、水面から出てくる物体に反応して水に飛びこむ習性を利用して、お客様の頭がちょうどホッキョクグマからみて水面から出るえさに見えるような演出をしたり、頭上17mを安全ネットなしで空中散歩するオランウータンの伸び伸びした動き、観客の目の前で、円柱水槽を気持ちよさそうに上り下りするアザラシ、冬に遠くの餌場まで雪の上をよちよち歩きするペンギン等々。それぞれの動物の習性を識り、動物の自然な動きを引き出し展示する事が話題になりました。

 ここで見えてくるのは、お客様は、動物を見に来るのではない、ということです。
 今まで見たこともない動物がいたとしたら、当然全国から見に来ます。しかし、一度見ると満足して、そのための目的だけではもう来ません。数多くのお客様が繰り返し来られるのは、そこに「感動」があるからです。お客様は飽きやすい存在です。モノとして提供した瞬間に飽きられます。
 それを、ストーリーとして提供すれば「ワクワク感」を提供できます。しかも毎回変わるとすれば・・・。それがオランウータン舎やサル山で見られる、本来持っている習性を活かした遊び、えさを取るための様々な仕掛け=終わりなき飼育員との知恵比べゲームです。(動物が飽きたらワクワク感を伝えられません)
 もう一つは「幸せ感」です。同じ自然界に生きるものとして、動物のふと見せる幸せの仕草が心に残り、もう一度見てみたいと思わせる。(逆にオリの中でストレスを感じている動物を、お金を出して、もう一度見に行きたいと思うでしょうか・・・)
 旭山動物園には、「感動」と「幸せ感」があります。それが、旭川という日本でも最も不便な部類に入る場所にわざわざ出かけたいと思わせる一因です。

 そして、「感動」や「幸せ感」の演出は、飼育員を始めとした旭山動物園の方々の愛情によるものです。職員が生かされ期待されていることを肌で感じ、生きがいとなったからです。
 かつて、旭山動物園は、全国の他の動物園と同じく、入園者数が低迷し始め、様々な案が出されました。そんな中、「動物の素晴らしさを引き出し、来園者に伝えたい」という声が上がります。しかし飼育員からは、「我々の仕事は動物を飼育することだ。来園者向けの説明をするのは本来の仕事ではない」、「人前で話すのが苦手。だから飼育員になった」、「これ以上、仕事を増やさないでほしい」など。どこの会社の現場でも聞かれる話がでました。結果、全員で自分の担当する動物の事を来園者に知らせる「ワンポイントカード」を実施することだけが合意されたそうです。ところがその小さな挑戦行動が来園者の反応を引き出し、小さな成功体験、失敗体験が職員の自信と挑戦意欲をかき立て、自分たちの手で一つ一つ創り上げるという文化を生んでいきます。それがやがて大きな成功へつながる第一歩となったのです。
 前回のサウスウエスト航空のケースと同じように、特別な技術や大きな投資をしているわけではないという点では誰もが真似を出来るように思えますが、実現出来る企業は多くありません。実現にはかつての日本の企業が持っていた「従業員を大切にする文化」(終身雇用や年功序列の背景にあった精神)を、もう一度取り戻す必要があります。世界有数の企業がひしめくアメリカで「最も就職したい企業」に選ばれたサウスウエスト航空、冬は零下30℃まで下がる旭川の特別な動物のいない動物園が「入園者数全国1、2を競う」という事実からも証明できます。
 一度に大げさなことは難しいとしても、全員でお客様に出来る事、して上げたいことを議論し、小さな事(これが大事!)から全員でスタートすることが必要なのです。

 <グラフ> 来園者数推移(単位:万人) 

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エールパートナーズ会計発行:成長企業のための情報誌「グローイングカンパニー」

2010年4月号(VOL 117)より

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