文●人材開発室 田嶋 雅代
人の話す日本語を聞いて「あれ、おかしいな?」と感じることはありませんか。誤って理解したまま使っていることも多いようです。
次の言い回しは正しいでしょうか。
■わたしには役不足ですが、頑張ります。
× 「役不足」はその人の力量に比べて与えられた役目が小さすぎることを意味します。この場合は「私には力不足」が適切です。謙遜のつもりで役不足というと「つまらない役を押し付けて…」の意味となってしまいますので注意しましょう。
正しい使用例:「あなたには役不足かもしれないけれど、引受けてください。」
■あの人は、どうも気が置けなくて付き合いづらい
× 気が許せない、油断できないことなどの誤った意味にとられがちですが、正しくは、気を遣ったり、遠慮したりする必要がなく、心から打ちとけられるという意味です。
「気を置く」は気を遣うという意味なので、「気が置けない」=気を遣わない。誤用すると正反対の意味になるので注意しましょう。
正しい使用例:「あの人とは、何でも話せる気の置けない仲だ。」
■今度の仕事を成功させ、先日の失敗による汚名を挽回します。
× 名誉が失われた状態から巻き返しを図る意味で使われますが、汚名は返上するもの、挽回するのは名誉です。
正しい使用例:「今度の仕事を成功させ、先日の失敗による汚名を返上します。」または「名誉挽回のためにも今度の仕事を成功させます。」
言葉は時代とともに変化するため、誤った使い方が多数派となることもありますが、意味が正反対となり、誤解すると相手との後の関係を悪化させることにも繋がります。正しい日本語を使っているかを見直してみましょう。(監修:ビジネスマナー講師 八巻 惠子)
弊社発行:成長企業のための情報誌「グローイングカンパニー」
2009年12月号(VOL 113)より
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