文●キャリアコンサルタント 吉崎 英伸
部下を指導・統率し、秩序ある組織運営をするには、重要な基本原則があります。・指示・命令系統がはっきりしており、部下が直接指示を受ける上司は一人である、・部下に仕事を与えるときは、それにふさわしい責任と権限も委譲する、・仕事を任された部下は、上司に報告する義務がある等です。これらは下表には入れておりませんが、守られていないと組織は適切に機能しませんので、この点をまず点検し、整備する必要があります。
「部下の統率」というのは、単に管理することではなく、上司の示す方向性、考え方に部下が共鳴し、実現に向けて力を結集させることです。日頃から組織の方向性や上司としての考えを部下に語り、全員で組織の課題を共有し解決していくことが大切なのです。 また、仕事や指示をする時は「目的を理解させる」ことが必要です(表2,13参照)。目的を意識しないと、「手段」がいつの間にか「目的」になってしまうからです。例えば、事務局として会議の開催案内を定期的に出す仕事をしている場合、「会議をいかに充実させるか」という本来的な役割・目的を忘れ、いつの間にか会議を開催すること自体が目的であるかのように錯覚してしまう、という類です。あなたの周りにも手段が目的となっている事例が多く見当たりませんか。
下表の自己チェックリストに○印を付け、どの程度実践できているか、合計で何点になるかを確認してみて下さい。弱い点を再確認し、強い組織をつくる一助にして下さい。
経営の実践行動
「部下を指導・統率する」
■ 自己チェック項目
部下の指導・育成 | ×(0点) | △(1点) | 〇(2点) |
1. 成長して欲しいと願う心と熱意を持って、 部下を指導・育成している | |||
2. 仕事の目的や、ものの見方、考え方を部下に 十分理解させている | |||
3. 部下には改善の必要性や、何故そうなのかを 考えさせている | |||
4. 部下の長所を引き出して、ほめて自信を 持たせている | |||
5. 部下には新しいことに挑戦させ、成功体験を 多く積ませている | |||
6. 仕事の幅を部下に広げさせるために、仕事は 抱え込まず部下に任せている | |||
7. 部下に注意をする時はタイミングを逸する ことなく、適切に指導・助言している | |||
8. 仕事への取り組み姿勢は部下の模範となる よう心掛けている (主体性を持ち積極的に 行う、 スピーディに対処する、粘り強くやり 遂げる等) | |||
部下の統率 | |||
9. 組織のビジョン、目標を明確にし、向かうべき 方向を組織メンバーが理解・共鳴している | |||
10. 組織内の問題は全員で共有し討議する場を 設けて、解決している | |||
11. コミュニケーションをよくし、何でも気軽に 話し合えるようにしている | |||
12. 部下の前向きな意見や不満、考えていること をできるだけ聞き出している | |||
13. 指示をする時は、用件だけでなく目的や期日 な どを明確に伝えている | |||
14. 指示をしたことは言い放しにせず、報告を 求めたりフォローしている | |||
15. 上から指示があった時は、自分の言葉で 分かりやすく部下に説明している |