文●キャリアコンサルタント 吉崎 英伸
組織風土を形づくるベースとなるのは企業理念です。即ち「どのような存在価値のある会社になりたいか」「お客様貢献をどう実現するか」という経営者の想いが、どれだけ従業員に浸透しているかで組織風土の様相が変わってしまいます。生き生きと活力のある組織は、従業員が経営理念を共有し、チャレンジャブルで自由闊達な風通しの良い風土を特徴としています。部下からの意見が少ない、積極性・自主性がない等の状態は、即刻改善が必要です。
組織風土の醸成には、上司として「部下をどのように仕事に取り組ませているか」ということも密接に関連します。この観点からの点検も含め、経営者や幹部として日常的にどう行動すべきか、重要なポイントを下表にまとめました。ただし、「仕事の取り組み方」については、前月号とオーバーラップする内容が多いため、ここでは前月掲載しなかった事項に絞って表記しました。前月号と合わせてご確認いただければより効果的です。
下表の自己チェックリストに○印を付け、どの程度実践出来ているか、合計で何点になるかを確認してみて下さい。実践出来ていない項目は、何故、実践出来ていないかを考え、その原因を取り除かなければなりません。「分かっていてもやらない」のは、それだけで職場の活力を低下させるため、上に立つものとして最も避けるべきことです。
世の中の変化が激しい時こそ、上司が真っ先に変わらなければなりません。変われないのは後退を意味し、部下に対しても指導力は発揮できません。自ら一歩を踏み出すことが、やり甲斐があり活力のある組織風土の醸成に不可欠なのです。
経営の実践行動
「活力のある組織風土を醸成する」
■ 自己チェック項目
×(0点) | △(1点) | ○(2点) | |
1. 「どのような会社になりたいか」という経営理念を分かり やすい言葉で部下に説明し、理解・浸透させている | |||
2. 「お客様への貢献」をどのように果たすかを部下に考えさせ、自分の役割を認識させている | |||
3. 明るくのびのびとした雰囲気の職場になるよう努力している | |||
4. 職場は自由に発言できる雰囲気があり、気軽に発言させている | |||
5. 部下の発言した内容に対して、怒って萎縮させたりしていない | |||
6. 部下の前向きな意見を取り入れている | |||
7. 部下には自分から声をかけ、良い人間関係をつくるようにしている | |||
8. 情報開示を積極的に行い、メンバーが共通認識に 立つようにしている | |||
9. 職場の目標や個人の取り組みテーマを明確にしている | |||
10. 課題をメンバーで共有し、協力し合って課題解決するよう にしている | |||
11. 仕事は任せきりにせず、フォローし部下を成功に導いている | |||
12. 職場内の個人的な対立を回避している | |||
13. 難しい問題に直面したときでも暗くならず、プラス思考で 話し合っている | |||
14. トラブルが発生しても避けて通ったり責任転嫁せず、 上司としての責任を果たしている | |||
15. 規律を乱す行動には厳しく対処し、指導している |