文●キャリアコンサルタント 吉崎 英伸
部下は上司の言葉づかいや行動をどう見ているか、ということを皆さんは考えたことはありますか。日頃あまり気にかけていないかも知れませんが、部下は敏感に感じています。経営者・幹部の何気ない言動は、部下のモチベーションを高めることもあれば、反対に部下を傷つけ、やる気をなくさせることも多々あるのです。
今月号から、「部下は上司のここを見ている」という視点で、上司の言動について考察していきます。初回は、指示の仕方や報告・提案の受け方、問題への対処の仕方など、部下への接し方について考えます。
下表には、上司として「好ましくない言動」と「好ましい言動」に分けて、職場の中で見受ける例を列挙しました。項目毎に点検し、仕事を進めていく中で、もしかしたら意識していないかも知れませんが、「好ましくない言動」の項目で「自分に思い当たる」項目に○印がつけば正す必要があります。また「好ましい言動」の中で「実践していない」ことがあれば、実践するように努力しましょう。当然のことですが、「好ましくない言動」を正し、「好ましい言動」を実行するようにすれば、職場の雰囲気はガラッと変わり、何よりも上司への尊敬の念が増し、信頼感が高まります。そうなれば、部下はやる気を出し、フットワークがよくなって、仕事が円滑に進むようになります。
しかし、これは「上司の言動次第」と単純に割り切れる問題ではありません。何故ならば、「部下をどれだけ大切に思っているか」が言動の根底にあり、それが言葉や行動となって表れるからです。ですから、「部下を思いやる」大きな気持ち、ゆとりを持たないと根本解決しません。そのような広い心で、取り組んで欲しいと思います。それが上司としての人間的魅力を高め、更に良好な人間関係をつくることになるのです。
■ 自己チェック項目
部下は上司のここがイヤ! [好ましくない言動] | ○ | × |
1. 仕事を急がされて無理して仕上げたのに、それをすぐに使おうとしない | ||
2. 部下からの提案を、「今忙しいから」「今取り組むパワーはない」 と、内容もよく見ずに却下される | ||
3. 部下の話しをよく聞かず、自分の言いたいことだけを 言う(自説にこだ わる) | ||
4. 問題が起こると原因・対策よりも、まず言い訳、弁解をする | ||
5. 「とにかく任せるからやってよ」と無責任に丸投げされ、前面に出ない | ||
6. 報告レポートを提出した際には、「これでいいんじゃないか」と 言いながら、後からそれが問題になったときは、何もサポート してくれない | ||
7. 優柔不断で、なかなか結論を出さない | ||
8. 表情が暗く、いつも「ぶつぶつ」「どうしよう」と言っている |
部下は上司のここに好感! [好ましい言動] | ○ | × |
1. 報告を受ける際に、ほかの仕事をやめて真剣に聞いてくれる | ||
2. 部下の提案に対してよく聞いた上で、「もっとこうしたら良いのでは」 とアドバイスしてくれる | ||
3. 近寄りがたいバリアーを感じさせず、ざっくばらんに接してくれる | ||
4. いつ行っても、快く相談に応じてくれる | ||
5. 職場内を歩いて、さりげなく声をかけたり、現場の声を よく聞いてくれる | ||
6. 仕事がうまくいったときや、一段落したときに心から労いの言葉を かけてくれる | ||
7. 問題が起きたときは、自分のこととして受け止め、一緒になって 解決に当たってくれる | ||
8. 「責任は私が取るから、とにかくやってみろ」と言って任せてくれる |